ネルーダ 愛の詩(5)百の愛のソネット(1)

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 百の愛のソネット

 『百の愛のソネット』では、愛はソネットの形式でうたわれ、百篇にのぼっている。この詩集でネルーダはすすんで、ソネットの形式を愛の詩にもっともふさわしいとする伝統に従っているのである。
 ソネットの巨匠はおそらくイタリアのペトラルカ(1304ー1374)であろう。またフランスでは、ロンサール(1524ー1585)の愛のソネットが鳴りひびいていた。スペイン詩にあっては、フェルナンド・デ・エレーラ(1534ー1597)ルイス・デ・ゴンゴーラ(1561ー1627)などが、ソネットを発展させていたのである。
 「いつの時代の詩人たちも、めいめいそれぞれに、気どった優雅な趣味によって、金銀細工の音や、水晶の音や、あるいは砲声のように鳴りひびく脚韻をもちいてきた。」
 マチルデ夫人に宛てた、この詩集のまえがきにこう書いたとき、ネルーダはおそらく、それら、むかしのソネットの巨匠たちを思い浮べていたのにちがいない。しかし、それら、洗練された優雅な詩人たちの「金銀細工」や「水晶」のような脚韻にたいして、ネルーダは「木材(こっぱ)」の音を対置するのである。
 「わたしはこれらのソネットを、きわめて謙虚に、つつましく、木材でつくり、それらに木材というこの不透明で純粋な物質の音をあたえた。ねがわくば、これらのソネットが、そのようにおまえの耳にとどいてくれるように。おまえとわたしとは、ほうぼうの森や砂漠を歩きまわり、荒涼とした湖水や灰色の高原を歩きまわって、水に流されるにまかせ、嵐に吹かれるにまかせた純粋な木材や板切れを拾い集めた。これらのいともなつかしい足跡から、わたしは、斧や、小刀や、ナイフで、愛の骨組みをつくり、一四枚の羽目板で小さな家を建てた。そのなかに、わたしの愛し、うたう、おまえの眼が住めるように。……」
(つづく)

<『愛と革命の詩人ネルーダ』国民文庫 1974年>

百のソネット本

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