大島博光氏とランボー詩(下)

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 ここで、大島博光訳と他者の訳を取り上げてみましょう。わたしのお気に入りの「谷間に眠る者」の中のフレーズ。三連目のラストの一行。大島訳「谷間に眠る者」
a「自然よ、彼を温かく揺すれ、彼は寒いのだ!」
他者の訳「谷間に眠るもの」
b「やさしい自然よ。やつは寒いんだから、あっためてやっておくれ。」
     *
まずタイトルの訳が異なります。
「者」と「もの」
者、なら、一目で人だとわかります。
もの、生き物だか物体だかわかりません。
a リズム、迫力あり。感情もこもっている。
b やさしいという形容詞が最初に来ているので、迫力に欠ける。
口語体が砕けすぎているので、懇願調で、品位が削がれる。
さてbの訳者は誰でしょうか。金子光晴です。
訳者によって、このように雰囲気が異なります。もし、わたしが金子光晴訳を最初に読んでいたら、いまほど、ランボーを敬愛したか否かはわかりません。出海渓也氏は大島博光氏と面識があったのだろうか。出海渓也氏は、一九五二年、詩誌「列島」を関根弘等と創刊しているので、大島博光氏と面識があったかもしれませんね。出海氏はランボーに心酔していたので、ランボーを訳した大島博光氏をも心酔していたのかもしれません。嶋岡晨氏が大島博光氏の翻訳家としての力量を高く評価していることは、大変に喜ばしいと思います。大島博光記念館のますますの発展を期待しています。

<『狼煙』80号>

*堀内みちこさんは現在個人詩誌「空想カフェ」を発行されており、詩、エッセイ、童話など精力的に活動されています。2015年11月発行の第20号には「ランボー その詩の中の色」という瑞々しいエッセイも見られます。詩人としての経歴もすでに長く、主な詩集に『花びらを噛む』(1966年思潮社)、『黄金の矢を射る』(1999年詩画工房)、『小鳥さえ止まりに来ない』(2006年思潮社)、『夜の魔術師』(2012年思潮社)などがあります。また詩誌「東国」の同人でもあられます。今回のような貴重なご寄稿をいただけましたのは、ひとえに堀内さんの気さくなお人柄によるものであることを言い添えておきたいと思います。(重田暁輝)

山

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