プーサ村のリー・チー・ヒエンに

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プーサ村


プーサ村


 裸婦像


プーサ村のリー・チー・ヒエンに
                         フランソワーズ・コレーズ

トイで
妹よ
あなたには 子供があった
やつらは その子供を殺した
あなたには 家があった
やつらは その家を焼きはらった
あなたは 水ひるがおのように
ひよわに見える
しかし あなたは 合作社で
しんぼう強く はたらく
私はあなたよりも二倍も年上だけれど
あなたのそばにいると
わたしには 言うべき言葉もなく
ただ うなずくばかり

トイで
妹よ
わたしは あなたから遠く離れていた
エゴイズムの長さだけ
あなたは わたしのエゴイズムを引き裂いて
希望に変えてくれた
           一九六七年四月十六日
                ハノイにて

わたしの心から 流れでる言葉を
わたしは あなたがたにおくる
みがかれすぎた小石を
しずかな家のおくに
閉じこもった詩を

あなたがたにおくるわたしの言葉は
あなたがたの地獄のかたわらでは
ちらばる砂のようなもの
わたしは わたしの言葉が
正義のための
灼熱したはがねとなってほしいのに
わたしの言葉は 少しばかりの
怒りと
涙でしかない

あなたがたが 死んでゆくときに
わたしは あなたがたに 言葉をおくる
木の実のように 地に俯して
泣き崩れるあなたがたの子供のかたわらで
わたしは はっきりと感じる
それら 雪のようなわたしの言葉が
溶けさってゆくのを

わたしはもう
バルコンのうえで
陽を浴びたり
花花を眺めて 楽しんでいられない

ありあまるパンと
砂糖と
眠りとを むさぼってはいられない
わたしは じっと観る
役に立たない わたしの手を
あなたがたにおくるわたしの言葉
わたしのこころから流れでた言葉

わたしは あなたがたの田んぼのなかの
一挺の鉄砲でありたい
               一九六七年五月
        ハノイよりプノンペンに帰って

 (『詩人会議』フランス 詩二篇 1968.3)
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