未来派詩人

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未来派詩人

赤バラ



 未来派诗人
          嶋田誠三

都会のビルの谷間に迷い込んだあげく
やっと横町に逃れて行くと
ちよっとハイカラな喫茶店があって
吸い込まれるように 中へ入ると
あいにくなことに 席は満席
だが ふと見ると窓際に空席があった
急いで そこに行ったが やはり駄目
女がひとり そこにも掛けていた

えい 僕は勇気を出して
「そこに掛けてもよろしいですか」と声をかけた
すると「どうぞ」との返事 言ってみるものだ
女の視線を避けながら ウエイトレスに紅茶を注文する
紅茶をすすりながら 女の顔を眺めると
すごい美人だ
その上 テーブルの上に紙を広げなにか書いていた
「なにを書いたのですか ラブレーターですか」と聞くと
女は ほほほと笑って 口を押さえたが
「詩です 詩を書いているのです」と言った

「では詩人ですか」と聞くと
「はあ」と首をかしげ
「そうです わたしは詩人です」と言った
「すばらしい 僕も詩を書いて詩人になってみたい」と言うと
「大丈夫です 詩を書けばあなたも詩人です」と女は言った
「学生時代詩を書いたことがあります
 僕は未来派詩人を夢みていました」と言ってしまった
「未来派詩人それが夢でした 今の資本主義は没落します
 その後にすばらしい未来社会が来ます 僕はそれを歌う」
僕は未来派詩人を説明した

「あなたの言う未来派は 社会主義のことですか」と女は言った
驚いた美人のうえに聡明だ
「未来社会 そこは生活が豊か 個性が尊重され
余暇の時間はありあまる 夢のような自由な社会」と僕は説明し
「そうだ僕は 未来を賛美する未来派の詩人だ
 自然をたたえろ日常生活を語れなど くそ食らえ」と叫んだ
すると美人は 思わずふきだし
「未来派詩人というのは 現実の変革などとは縁のない
 資本主義をいろいろややこしく分析したり 飾り立てたり
 夢遊病者の詩人たちですよ」と教えてくれた
僕は恥ずかしくなり そうそうに席を立ち
喫茶店を跳びだした 店の前には猫がいて
不思議そうな顔で僕を見送った
猫にも異端視されるのか それでも歩くしかない

どこをどう歩いたのか 覚えがない
とにかく歩いた すると公園のような広場で
人が大勢 色とりどりの服装で群がっていた
楽器をならし 歌をうたう人 プラカードも見える

「アべ政治を許さない」「戦争法案反対」が多い
珍しいことに 青年がたくさんいる
幼い子供を連れた 若いお母さんもいる
「私の子供を戦争で殺させない」
「世界のすべての子供を戦争で殺させない」
色とりどり 思いおもい それぞれが自分の意志で

ステージでは青年がマイクで訴える 自分の声で
うながされて おずおずとマイクを握った青年
「僕は初めてマイクを握った 僕はいま自分の意志で
しゃべっている これが民主主義だ」

なにかがいま動き出した 青年が 若いお母さんが
自分の意志で 自分の考えを訴える 市民革命
そうだ これが僕が思っていた未来派の詩人たちだ

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