めくるめきを歌いたい

ここでは、「めくるめきを歌いたい」 に関する記事を紹介しています。



 めくるめきを歌いたい
             大島博光

わたしはめくるめきを歌いたい
夢のような歌をつむぎたい
ひとをもわれをも立ち上らせる
奇跡のような詩をつむぎたい
新しい酒が流れるような
世界が新しく見えるような

実践的真理をうたいたい
奇跡のような歌をめざしたい
崩れた日にも立ち上らせる
疲れた眼にも光をあたえる

暗い苦しみを歌に変える
塩からい涙を虹に変える
それがわたしの選んだ詩法だ
生き残ったわたしの戦略だ

嵐にざわめく森のように
岩間でささやく泉のように
わたしは希望をもうたいたい
鳩のうたや未来をうたいたい

美と真実と 夢と現実と
鳩のうたと 雲雀のうたと
そんな矛盾を解決する詩を
奇跡のような歌のしらべを

死んでゆく子には見向きもしない
苦しみや叫びには答えない
そういう詩人にはなりたくない
わたしは何より人間でありたい

わたしは何より人間でありたい
人間の歌を わたしはうたいたい
身も顛える そのよろこびを
おのれを越えるそのたたかいを

梢の小鳥のようにうたいたい
羽根をふるわせて囀りたい
ひとを生きさせる愛の力を
きみの眼のおくにひらめく炎を

音楽が 音の建築であるように
詩も ことばの建築となるように
骨組も柱も堅牢にしたい
絵画(イメージ)や彫刻で飾りたい

言葉の錬金術を手に入れて
遁走曲(フーガ)や対位法をとり入れて
言葉の交響曲のような歌を
おのれの限界を越える歌を
すべてがひびきあうような歌を

ヴィオロンもヴィオラも弾きたい
トランペットも吹き鳴らしたい
わたしもまたすべてを歌おう
わたしも遠くをめざしてゆこう

人間を人間たらしめるものを
人間を偉大にするものを
わたしは歌でほめ賛えたい
賛えて風に投げてやりたい
            一九九五年一月

(草稿「大島博光詩集1995〜2003」)

チューリップ


関連記事
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://oshimahakkou.blog44.fc2.com/tb.php/2887-2e26b098
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック