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ちんぴらの歌/アラゴン

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ちんぴらの歌
                               ルイ・アラゴン
                               大島博光訳

ふところに小鳥と匕首を呑んだ
思い上った 横柄な若者たち
脚は 眼のように す速い

おお きみらが投げる石つぶて

夜 女たちに襲いかかる炎
他者の幸せを奪いさる嵐
娘っ子や子宝をかっ攫うやから

おお 生垣のなかのきみらの笑い

金をなくとも手に入れる
権利はなくとも 居すわる
灯の消えた街での喧嘩出入り
きみらには隣人をばらした血が匂う

おお 荒くれた 地獄の新入りども

壁も人間(ひと)さまも お構いなし
ひっくり返った 酒杯(さかづき)たち
楽しみは お濠(ほり)のなかに

おお 一か八か この世の狼ども

法を犯した女たちを犯すやつら
廿(はたち)で やばい暮らしに酔っぱらい
きみら 若い身空で首縊られる

おお 独り者のならず者ども

歯の白いうちに 神をののしれ
自分の魂のために 素足で祝い踊れ
街の隅の獲もののように

殺される前に 撃って出ろ

腕のなかで闇を絞め殺せ わめけ
神はくたばれ 愛はでっち上げだと
日々を藁のように折りしだけ

この世の終りのために生まれた若者たち


 この詩も『エルザの狂人』から訳出したもので、この詩の前に、つぎのような散文詩が書かれている。

 「・・・夕ぐれがオレンジのように落ちた。ひんしゅくを買う、破廉恥な格好をした若者の一隊が、街通りをのして行った。おお グラナダよ、おお 誘う町よ。ここでは、悪と眼がとても美しくて、ひとはそれを善と思い込んでしまう・・・ところで、彼ら、あの不逞のやからは、どんな歌をうたったろう?」
 むかしのグラナダにも、ドスをのんだやくざ者がいた。そうしてこんにち、ドスなどではなくて、核ミサイルをふりかざしたやくざ者が、世界をのし歩いている。
一九九七年          

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