ロルカよ

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ロルカよ
                                  ルイ・アラゴン

きみはわたしより一つ若かっただけだが しかしきみは永遠に
あの若者のままでいるだろう
永遠にあの若者でいて きみの白い髪や皺のよった額をだれも見ないだろう
きみの死刑執行人にお礼を言うことだ きみが思い描きもしない
あの老衰から免かれさせてくれたことを
フェデリコ・ガルシア・ロルカよ 結局最後にきみの名をわたしの口は呼ばねばならない

草刈り人はクローバーをなぎ倒し あとにバルコンの想いが残る
子どもはオレンジをたべる オレンジは血の色をしている
しかしバルコンを開(あ)けておいてくれときみは願ったがむだだった
もしもきみが死んだらときみの詩のなかで歌われたようにきみが死んだとき

おお 風のハンカチのうえに残る死の匂い
このきみの運命をスペインは辿ってゆく
死ぬべきひとつの世界が進み出てきみのあとにつづく
そうして前を行くあの男
夕ぐれ五時の無名の英雄イグナシオ・サンチェス・メヒアス
彼については誰もなんにも知らない 彼の家の蟻たちも
いちじくの木も牡牛も
なぜなら彼は「地球」のすべての死者のように永遠に死んだから
すべての死者のように彼をひとは忘れるから 抑えつけられて

犬たちの群のなかで
そうして彼の足跡の上を妖精のような人びとの群が進んでゆく
顔は爪でひっかかれ服はひき裂かれ 魂はかきむしられて
きみの歌った気高い言葉を歌いながら
・・・
おお 葬式のような不吉な集まりよ 残酷なパレードよ
かってきみの歌った言葉がほかの意味をもつ
  「夜ごとグラナダで
   夜ごとひとりの子どもが死ぬ」


  解説

 この詩は、アラゴンの長詩『エルザの狂人』の終りの部分にある。ここでは、ロルカの思い出とスペイン市民戦争の悲劇が歌われている。
 第二部の「バルコンの想い」は、ロルカの「もしもわたしが死んだら バルコンを開けておいておくれ オレンジをたべる子どもが見えるように」(大意)という詩にふれて書かれている。
 一九三六年七月、ファシスト・フランコは、スペイン共和政府と人民にたいして反乱を起こし、ここに、スペイン市民戦争の幕が切って落された。そしてよく知られているように、八月一九日、ファシストたちは早々にフェデリコ・ガルシア・ロルカを捕え、グラナダ郊外で銃殺し、血祭りにあげた。その後、スペイン人民戦線軍の英雄的な抵抗と敗北が、ロルカの死の「あとにつづく」。敗北した人民戦線の兵士の群や亡命者、難民の長い行列が、ピレネーの峠を越えて、フランス領へとつづいた。フランスの官憲もまた彼らを虐待した。
「顔は爪でひっかかれ服はひき裂かれ魂はかきむしられ・・・」
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