ルヴェルディ「詩人たち」

ここでは、「ルヴェルディ「詩人たち」」 に関する記事を紹介しています。



詩人たち


(『三笠版 現代世界詩選』)


灯台


 詩人たち      ピエール・ルヴェルディ

 詩人の頭は、ランプの笠のかげに、臆病げにかくれていた。彼は蒼ざめ、その眼は赤い。詩人のなかには、身じろぎもしない、ひとりの音楽家がいる。音楽家は眠っているが、そのもぎとられた手はヴァイオリンを弾いている。そのみじめさを忘れさるために。
 家のまわりを、どこにも通じない階段が這いのぼっている。家には、扉も窓もない。空虚のなかを急ぐ影たちが、屋根のうえに揺れるのが見える。影たちは、ひとつ、またひとつ、屋根から落ちるが、死にはしない。みずからは音楽を聴かないその手で、たえずヴァイオリンを弾きつづけている音楽家に魅了されて、影たちは急いでまた階段を駈けのぼっては、永遠にくりかえしている。
               (大島博光譯)
関連記事
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://oshimahakkou.blog44.fc2.com/tb.php/2759-82f9e8ee
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック