いまは走るときだ

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いまは走るときだ




(『赤旗』1991年2月13日、詩集『冬の歌』)

沖縄

 いまは走るときだ
  ──小熊忠二の詩の延長線上に

小熊忠二は書いた
「老化衝動症」という詩のなかに

「セキレイがとんでいた
猫がくわえた
あたり感嘆の声ひびくのに
しゅんかん
奇声をあげておれは猫をおいかけて
よその家の庭をぬけ
ブロックを越え 菊をふみ
走った……」

この詩は湾岸戦争の始まるずっと前に書かれた
これを読んでわたしはほめたたえた
この詩人の熱い人間的な行動を 正義の精神を

いまや 世界じゅうの眼のまえで
セキレイを咥えた猫から
セキレイを奪いかえそうと
セキレイもろとも 猫を鷲づかみにしようと
鷲が襲いかかっている
トマホークやステルス攻撃機で襲いかかっている

抽象画のように 花火のように
夜空をとびかう 火の矢 火の玉
操縦席のカメラが映しだす 乾いた爆撃シーン
まるでテレビゲームと見える映像のかげで
しかし確実に流され 流れているのだ
たくさんの子どもたち女たち男たちの血が
そして放流された原油でまっ黒に ねっとりと
羽根も油まみれになったペルシャ鵜たち

猫にも 鷲にも 正義はない
いまは 猫を追い 鷲を追って
人間が走るときだ
戦争反対のデモに 署名に

サヴァンナの弱肉強食をやめろ
青い海や空を汚すな
ジャングルの論理に手をかすな
人民の汗も血も鷲のために流させるな
愚かな戦争をやめろ
              一九九一年一月

(『赤旗』1991年1月13日)
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