ネルーダ「アルメリア」

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 アルメリア

司教のまえの料理皿 ひび割れた苦(にが)い皿
鉄のかけらや 灰や 涙にみちた皿
うめき声や 崩れ落ちた壁のかけらでいっぱいの皿
司教のまえの料理皿 アルメリアの血のついた皿

銀行家のまえの料理皿 幸福な南部の
子どもたちの頬をのせた皿
大水と廃虚と恐怖にみちた ぎらぎらした皿
断ちきられた光明と 踏みつぶされた頭をのせた皿
黒い皿 アルメリアの血のついた皿


毎朝──きみら生涯 おびえおののく朝ごと
食卓の上に湯気をたてる熱いその皿を見るだろう
きみらは 華奢(きゃしゃ)な指でちょいと皿を遠のけ
もう二度と見まいとし気にかけまいとするだろう
     
きみらは パンと葡萄(ぶどう)のあいだから皿を遠ざけるだろう
だが その血のついた皿は声もたてず
毎朝 そこにあるだろう
まいあさ
隊長と隊長夫人のとる皿もある
守備隊の祭り日に ほかの祭り日ごとに
忠誠と勲章による皿だ 葡萄酒色の明け方の光をたたえた皿だ
それはきみらがこの世で身も凍えて 顛(ふる)えながら
その皿を見るためだ

そうだ きみらみんなに皿がある
ここや向うの金持たち
大使よ 大臣よ むごい客人よ
心地よい茶会の 地位も揺ぎない 貴婦人たちよ
貧しい人たちの血でさびつき けがれ よごれた皿がある
きみらのまえには 毎朝 毎週 永遠に
アルメリアの
血のついた皿がある

(角川書店『ネルーダ詩集』──「心のなかのスペイン」)

夕焼け
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