ネルーダ「おれは思い出す」

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6 おれは思い出す

おれは思い出す 去年の秋の おまえの姿を
灰色の素朴なベレを 波風(なみかぜ)もなかったおまえの心を
おまえの眼のなかで 夕ぐれの焰がたたかい
おまえの心の水面に 木の葉が舞い落ちていた

おまえはおれの腕に 昼顔のように巻きついた
おまえの安らいだ静かな声を 木の葉が摘んだ
あの燃えるような陶酔を思って おれの渇きはやつれはてる
おれの心のなかで 身をくねらせる 優しい青いヒヤシンスよ

おれは 遠のくおまえの眼を感じる そして秋も遠く去った
灰色のベレよ 小鳥たちの叫びよ くつろぎ親しんだ心よ
おまえの方へ おれの深い欲望は駆けて行き
おれのくちづけは 燠火(おき)のように楽しく降った

舟の上から仰いだ空 丘の上から見おろした野原
陽(ひ)のひかりよ 静かな池よ 煙りよ おまえの思い出よ
夕焼けが おまえの眼のかなたで 燃えていた
おまえの心の上に 秋の木の葉が舞っていた

(角川文庫『ネルーダ詩集』──「二〇の愛の詩と一つの絶望の歌」)

夕焼け
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