夏の終わりの蝉のように

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 夏の終わりの蝉のように
                      大島博光

泣いてた男が 泣きやんだら
呻めいてた男が しずまったら
すすり泣きの歌も 聞こえない
もう わめく声も 聞こえない

耳ざわりな涙声も 消えた
もう ひっそり だまりこんでしまった
呻めいてた男も 死んだんだろう
もう泣き虫も くたばったんだろう

夏の終わりの蝉のように
泣いているうちは 生きているのに
歌いやめれば 死んでしまう
愛を失(な)くせば 火は消えてしまう

あとに残るのは 腑ぬけの殻
さながら蝉殻 もぬけの殻
呻めいてた男も 死んだんだろう
泣き虫も もう くたばったんだろう

   反歌

わたしは 夏の終わりの蝉だ
泣きやむときが 死にゆくときだ

夏の終わりを うたう蝉は
愛も歌も生も ひとつのもの

生のかぎりを わたしもうたおう
わたしの声が きみにとどくように

わたしもうたおう 最後の愛を
声をかぎりに 最後の生を

わたしのこだまが 森の茂みに
いつまでも顛えて 残るように

    一九九五年二月

(自筆原稿)


*色紙「夏の終りを鳴く蝉には」のもとの詩がこれですね。偶然みつかりました。
「夏の終りを鳴く蝉のように わたしも 声をかぎりに 最後の生をうたおう」

蝶
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