二百五十の名を

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  二百五十の名を
                     大島博光

 見るがいい この砲口を
 その黒ぐろとした砲口をつきつけられ ぶちこまれる
 われらの山 富士を わたしたち自身を

 われらの富士は遠く見はるかして そこに立つ
 沖縄を 板付を 岩国を 小牧を 横田を 立川を
 新島を 横須賀を 厚木を 三沢を そうして千歳を……

 これら われらの うつくしいふるさとの
 奪われた二百五十の名をよびつぎ よびつらねれば
 二百五十の怒りがわれらの胸につきあげてくる

 めくら撃ちに 撃ちころされたむすこたちの叫びが
 汚されふみにじられたむすめたちの 憎しみが
 そこに つらなり うめくのがきこえてくる

 いのちそのもののような麦ばたけ いもばたけを
 鉄条網でしきられもぎとられた人たちの怒りが
 そこに 鳴りどよもしているのがきこえてくる

 これらペンタゴンに奪われた名をよびつらねれば
 原爆をつんでうろつく B52の爆音がきこえてくる
 水爆をつんだ空母が そこの港に黒ぐろと見えてくる

 南ベトナムの 朝鮮の 中国の ソビエトの兄弟たちに
 わたしたち自身の胸元に向けられた
 その砲口が はっきりと見えてくる

 だが 祖国の奥底から 民族の怒りが燃えあがるところ
 町じゅうに「アメ公帰れ」のビラがはりめぐらされ
 村ぐるみ むしろ旗をたてて立ち上る人たちがいる

 だれが平和の敵であるかを はっきりと見ぬくところ
 ふるさとの島を ミサイル基地にはさせぬと
 敵に面と向った番小屋にすわりこむ うんばあたちがいる

(『アカハタ』1962年1月)

富士山

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