ゴーシュロン「つけ狙う死神」

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 つけ狙う死神
              ゴーシュロン

おれたちが死神につけ狙われていたとき
おれたち自由の犯人は
悪夢などにうなされてはいなかった
おれたちはひたすら生を夢みていた

死神は 街角でも どこででも
おれたちをじっと覗っていた
長靴や ひどい汗の匂いを
あたりにふりまいて

死神はこっそりおれたちを覗っていたが
その姿はちらちらとかいま見えた
怖ろしい静けさが
密告者の白い眼が
ポリ公の磨かれた顔が

死神におもねることなく
友愛は温かい手で戯れていた
そして愛の一瞬の稲妻は
やさしい不死身の笑いをあげていた
消えた足跡

そうだ おれは知りつくした 絶望を
不条理と混沌を
母親たちの温かい腹のなかや
胸のなかをひっかきまわす死神を

容赦のない涙の沈黙

だがいちばん悪いのは 虚無のふちを
行ったり来たりすることだ
孤独と嘆きのあいだを
凍えと火傷のあいだを
きのうと明日のあいだの消えた足跡

闇のない闇の明日
針のない大時計の下で
昼は夜に似て そこに
めまいと雨が 吸い込まれるだろう

おのれの前には何もない
太陽も登らないだろう
もしも 孤独の鏡を
だれも 割に来ないなら

(詩集『不寝番』──死刑執行人の惑星)

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