わたしたちは網を編む

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 わたしたちは網を編む タインホア省クワンスオン区クワンチアン村の 網を編む娘たちに
                        アイン・トー

   黄いろい絹のより糸で
   わたしたちは投網を編む
   白い麻糸で
   引網を編む
   銃は 竹棚できらめき
   腰の革帯には 重い弾薬入れ
   みどりの救急袋が風にゆれている
   みどりの榔子の枝で

   ある娘たちは 編みながら
   もうまなざしは夢み心地
   夜どおしいっぱい 夜なべをしたからだ
   ほかの娘たちは 編み針をみがきながら
   こいびととの別れの歌を口ずさんでいる

   またある娘たちは
   軍隊に招集されて戦った
   けさのことを思い出している

   こんぐらかった絹糸を一本一本とり出し
   麻糸の糸まりを一つ一つほぐして
   す速い手つきで 網を編む
   網は 季節風の吹くなかに張ってある
   そうして若い娘たちは まひるの戦闘を思い出すのだ
   彼女たちは 網をそっちのけにして 銃をとると
   村のざんごうの中を走りまわった
   どこででも 弾丸が音をたてた
   網を編むそのおなじ手が
   砂丘のうえに 敵機を射ち落したのだ!

   投網はどんどん絹糸をくう
   引網は 新しい編み目をふやしていく
   陽(ひ)よけが 夏の陽ざしでみどりになる
   椰子の林のこかげで
   海鳴りの音をききながら よるもひるも
   わたしたちは す速い指さばきで網を編む

   投網は モイという肉の甘い魚をとる
   ラムという魚もとる
   引網は 月夜のなかを出ていって
   鱈(たら)や ニュックをとる
   みどり色の胴をした蟹や
   身がやわらかくて 匂いのいいチャゴイをとる
   わたしたちの編んだ網は
   着物にもなれば 食糧ともなり
   大洋への愛情ともなる
   さあ 同志たち漁に出かけてください
   引網をもって 投網をもって
   わたしたちは ひるは編んで
   よるはベランダの上に立って
   あなたたちに代って 見張りにつくのです

*アイン・トー 女流詩人。一九二一年、北ベトナムの小さな町、ハイデュオンに生まれる。彼女は革命前に、ロマンチックな傾向をもった詩集『田舎の風景』を出版した。革命後、彼女は長編詩『ビュラン村の女』を出し、さいきん『鳩のつばさで』(一九六〇年)を出した。

ベトナム
(Catalogue of "1954-1975・VIETNAM" Exhibision of Photographs)

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