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戦争と平和と

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戦争と平和と

戦争と平和と2


(『赤旗』1988年1月17日、 『冬の歌』)

私のピカソ「戦争と平和」

戦争と平和と
                   大島博光

一八一二年九月 ナポレオンの侵略軍は
ポロジノを舞台にした 激戦に勝って
燃えるモスクワに入城したが 敗退する

大トルストイは この悲惨な戦争の絵巻を
「戦争と平和」のなかに 壮大に描いた
そのなかに 愛の物語をも織りまぜながら

一九五〇年六月 朝鮮戦争に手を出した
アメリカ軍は 細菌作戦にうって出た
その非道さに触発されて ピカソは描いた

ヴァロリスの壁画「戦争と平和」のなかに
右手に 血まみれの剣をふりかざしながら
左手の皿から 細菌をばらまく怪物を

そうして 「平和」のパネルのなかには
オレンジの木かげで 乳をのむ子と母を
笛を吹くケンタウロスや 夢みる男を

だが 核戦争が起きたら そのあとには
「戦争と平和」を書いたり描いたりする
作家も画家もだれもいないだろう

核戦争のあとには 廃墟となった地球には
もう ピエルとナターシャの愛もないだろう
ペガサスとたわむれる子供たちもいないだろう

核戦争のあとには 核の冬の地球には
もう 平和がやってくることはないだろう
やってくるのは 永遠の死の沈黙だろう

だが わたしは絶望しない 死を拒否する
迷宮のような世界にも 鳩のとぶ道があるのだから
世界人民の力は 核を包囲することができる
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