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絵はがき

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絵はがき
                   大島博光

ごぶさたした
元気でやってるか
くらしむきはどうか
組合はうまくいってるか
こちらもひどく苦しいくらしだ
重い税金にみんな苦しんでいる
牛や馬まで売って やっと払っている
いまにみんなハダカになってしまう
なぜ 人民がこんなにみじめなのか
みんなぼつぼつわかりはじめてきた

そんなことにおかまいなしに
うっすら芽ぐんだカラマツ林のなかで
ことしもコブシが咲きはじめた
山のおそい春を告げるように
まだ冬枯のままの その技に
まばらな白い花をつけた
まるでひらいた花火のようだ
あたりの色づいた大気をふるわせて
うぐいすも鳴いている……

だが もっと美しいのは
そんな白いコプシの咲く山みちを
赤旗おし立て 太鼓をたたいて
つき進んでゆく青年たちの一隊だ
人民の祭の日メーデーが 山の中にも
春といっしょに やってきたのだ
青年たちの歌ごえは
うぐいすの声をかき消して
山あいに鳴りどよもし
春の朝の光りに照りはえる
燃えるような旗の赤さ
そのまた旗の赤さが
青年たちの若い頬に照りかえしている
この火のような血の色は
おれの眼にも泌みいり
おれの眼がしらを熱くさせ
おれの血を深く かき立てる

ながいこと ふみにじられ
うち倒されていたこの旗が
自由と解放のこの旗が
立ちあがった青年たちの肩のうえで
五月の風にひるがえりながら
コブシの咲く山みちを進んでゆくのだ
たたかう青年たちの眼は
岩のあいだに咲きだした
スミレのように輝いている

人民のたたかいは
こんな山のなかにも進んでいる
そちらでもしっかりやってくれ
むりをしないように
からだを大事にしてくれ

(『詩歌殿』第1集 昭和23年9月、『大島博光全詩集』)

こぶし
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