『エルザの狂人』解説 (第四章)Aragon, Le fou d'Elsa

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 第四章「1491年」は、人間と時間との関係という主題を扱った一連の詩によって構成される。(「時計」「冬」「春」)
 アンダルシアのマジュヌーンは異端として裁判にかけられる。ひとりの女を崇拝することは、つまり神に向けるべき崇拝を女性にむけることは宗教に反する罪となるからである。それに彼の狂気はその不信心をかくす仮面にすぎないのではないか。彼は牢獄に投げこまれる。そこにはまた「姦淫の罪を犯した男」が投げこまれていた。
 その間にも、グラナダの包囲網は締めつけられて、敵は郊外に迫っていた。しかし、モール人たちのグラナダは内部抗争の舞台となっていた。「熱狂者たちが広場に現われて、ある者は、カスチリヤの侵略者にたいして武装しようと聴衆を扇動し、またある者は、大臣や軍部やユダヤ人を名指しして、攻撃すべきは裏切りの都(みやこ)であると叫んだ」
 民衆の蜂起を怖れて、警察は急いで市民たちの逮捕を始める。カサバの牢獄はあらゆる種類の人間によって溢れる。
 王ボアブディルは高官たちにイスラムの旗を掲げるように促すが、むだである。そこで昔の大臣アブール・カシムをサン・タフェに派遣して敵と交渉させる。
 牢獄のなかで、牢番はマジュヌーンに歌を強要する。軍司令官のムーサもまた彼を蒸し風呂の浴場に呼んで歌わせる。その後マジュヌーンは釈放されてふたたびおのれの愛の舞台グラナダをみいだす。(「エルザの祈り」)
 大臣アブール・カシムはグラナダ降伏に九十日間の猶予をスペイン軍のイザベルとフェルディナンドに受諾させる。
 市民たちは、未来はどうなるのか、案じて語り合う。折しもペストがグラナダの市(まち)を襲う。それはユダヤ人のせいだといって、アラブ暦二月二五日の夜、ユダヤ人虐殺が行われる。こうしてマジュヌーンの友人ザイドの婚約者の若いシムハも暴行され、犠牲となる。それにつづく詩は、この反ユダヤ主義を告発して鳴りひびく。

 「だがあれはユダヤ人なのだ」ときみは言う
 そんなきみの言葉にきみは恥かしくないのか

(つづく)

<自筆原稿>

 第四章「1491年」
・姦淫の罪を犯した男
・もぐりこんでゆくもの LE FORNICATEUR
・エルザへの祈り PRIÈRE D'ELSA
・いまや語るのが作者なのかメジュヌーンなのか わたしにはわからない

シャクナゲ
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