わたしの川も
大島博光
わたしの川も 海に辿りつき
海へそそいで 海に溶けこむ
わたしも 眼に見えない塩となる
もう 夜ひる 流れることもない
レンゲ咲く野を せせらぎとなって
もうささやきうたうこともない
春の嵐に 奔流となって
岸べの風景も 眼に見えず
やみくもに駆けくだることもない
思えば 大いなる洪水(でみず)のとき
みんなと怒って蛇行して流れた
オオカミどもの城をめぐって
岸べのススキの 白い穂影も
風に揺れる赤いアザミも
飛ぶ鳥の影も もう映らない
ハシバミの木かげで よどんだり
クルミの木かげで まどろんだり
魚(さかな)とたわむれることもない
わたしの川も 海へ辿りつく
もう先にきて やはり塩となった
漂ってるきみを 探しあてよう
そうして泡立つ伊豆の海で
二人いっしょに泳いだように
またこの海に漂っていよう
ひろびろとした ひろがりのなかに
(自筆原稿)
大島博光
わたしの川も 海に辿りつき
海へそそいで 海に溶けこむ
わたしも 眼に見えない塩となる
もう 夜ひる 流れることもない
レンゲ咲く野を せせらぎとなって
もうささやきうたうこともない
春の嵐に 奔流となって
岸べの風景も 眼に見えず
やみくもに駆けくだることもない
思えば 大いなる洪水(でみず)のとき
みんなと怒って蛇行して流れた
オオカミどもの城をめぐって
岸べのススキの 白い穂影も
風に揺れる赤いアザミも
飛ぶ鳥の影も もう映らない
ハシバミの木かげで よどんだり
クルミの木かげで まどろんだり
魚(さかな)とたわむれることもない
わたしの川も 海へ辿りつく
もう先にきて やはり塩となった
漂ってるきみを 探しあてよう
そうして泡立つ伊豆の海で
二人いっしょに泳いだように
またこの海に漂っていよう
ひろびろとした ひろがりのなかに
(自筆原稿)
- 関連記事
-
-
生と死が地つづきの…… 2017/03/24
-
それは眠りなのか夜なのか 2015/07/23
-
わたしの川も 2015/04/14
-
八十八歳 2012/11/18
-
さよなら 2012/01/09
-
この記事のトラックバックURL
http://oshimahakkou.blog44.fc2.com/tb.php/2499-d906e407
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック