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エルザの狂人──巻頭の歌 CHANT LIMINAIRE

ここでは、「エルザの狂人──巻頭の歌 CHANT LIMINAIRE」 に関する記事を紹介しています。
 エルザの狂人

 ──巻頭の歌 CHANT LIMINAIRE


明日のない身の 最後の時を
わたしは 壕(ほり)のなかで過した
ほのかな 夜明けを待ちながら
わたしは宮殿を追われた 少年王
死が わたしの脇に坐っていた
グラナダの陥ちた 前夜

風も凍(い)てつく アランブラに
わたしは 痴呆のように生きた
うつろな眼 灰色のくちびる
つぶやく噴水 いつか傷つき
いま割れて 砕ける 鏡よ
グラナダの陥ちた 前夜

わたしは 使いはたされた夜だ
朝がた おのれの思想を探すのだ
またわたしは もう賭け金もなく
自分のシャツを引き裂く賭博者だ
すでに刺された心臓をひとが狙う
グラナダの陥ちた 前夜

グラナダの陥ちた 前夜

        (飯塚書店『アラゴン選集』)

*訳詩集『エルザの狂人

エルザの狂人中表紙


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