大野英子さんにインタビュー(2)児玉時代の兄・大野貞純さん

ここでは、「大野英子さんにインタビュー(2)児玉時代の兄・大野貞純さん」 に関する記事を紹介しています。
(2)児玉時代の兄・大野貞純さん

 小学校高等科の兄ちゃんたちは勉強が好きだった。いつも集まって勉強していた。
 五、六人の子が、それぞれ詩の朗読をするのを聞くのが大好きだった。
 兄ちゃんの声はだれよりもきれいだった。
(『続・九十歳のつぶやき』──背戸の水車)


<お兄様はどんな方だったんですか?>
頭が良くて母親がとても期待していました。出世するから、邪魔になるといって母は妹たちを遠ざけようとしたのです。

<お兄様の写真はありませんか?>
貧乏だったので写真なんて撮っていません。誕生日のお祝いもしたことがありません。

<「南斗六星」で星を見る兄が悲しかったと書いてありますね。家族のことが心配だったのでしょうね?>
妹達も母親にいじめられて大変だったが、いちばんいじめられたのは兄ちゃんだったと思います。

 こんもり暗い木々の梢の上、小さい星が西へすべるように流れていった。
 兄ちゃんは背中の私に話しかけた。
「お星様、見えるだろ
 あの
 蓮の花びらみたいのね
 南斗六星っていうんだよ」
 ・・・
 兄ちゃんの背から悲しさが津々としみてきた。
 (兄ちゃんは何が悲しくて秋風が吹きはじめた暗い庭に妹を背負って立っていたのだろう。)
 「夜はねるもんじゃ
  中え入れ」
 出て来た父ちゃんが私を抱え取ると、兄ちゃんをうながした。
 ・・・
 兄ちゃんが悲しかった。
 父ちゃんも、
 私も、
 南斗六星も悲しかった。
 間もなく兄ちゃんは家を出て雑役夫になった。
(『続・九十歳のつぶやき』──南斗六星)

大野英子
関連記事
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://oshimahakkou.blog44.fc2.com/tb.php/2425-72e8df53
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック