アルベルティ「新たに現われた愛の歌」

ここでは、「アルベルティ「新たに現われた愛の歌」」 に関する記事を紹介しています。
新たに現われた愛の歌     ラファエル・アルベルティ

きみが現われたとき
わたしはもがき苦しんでいた
風も入らない 出口もない洞穴の奥で
眼に見えない 鳥の翼の羽ばたくような
喘ぎの音を聞きながら 夜のなかで
わたしは のたうちまわっていた
そのときだ きみがわたしのうえに
きみの髪を振りほどいてくれたのは

わたしは太陽の方へ身を起こして見た
それは海を蔽うあけぼのだった
わたしは南部(ミディ)の美しい港に
錨をおろしたように思った
眼の覚めるような風景がきみのなかに隠されていた
バラ色の雪をいただいた明るく尖った山々や
ほの暗い森かげに隠された泉など

わたしはきみの肩に安らぎを見いだし
流れや斜面にそってくだり
のびた木の枝にからみ合い
この上なく甘美な死者の眠りを眠った
きみはわたしに門をひらいてくれた
そしてわたしの花咲いた歳月は
濃くて深い きみの愛の影のもとに横たわった
心を風の中へ連れ出し
きみの心の緑のリズムを与えてくれた
わたしは眠りこみ 目覚めて知った
自分はもう暗い洞穴で苦しんではいないのだと
自分はもう風も入らない出口もないところで
もがきたたかってはいないのだと

それはきみが現われたからだ
                   (一九五〇年)

<『マチャード/アルベルティ詩集』1997.12>

赤バラ
関連記事
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://oshimahakkou.blog44.fc2.com/tb.php/2381-9596a9ba
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック