ドミニックきょう現われる ポール・エリュアール
おまえはやってきた おれはとても悲しかった おれはうんと承諾した
おれが世界にうんと承諾したのはおまえに会ってからだ
少女よ おれはおまえを少年のように愛した
自分の少年時代しか愛せない少年のように
おまえはやってきた 生きたいという願いはひとつの肉体をもった
彼は重い夜に穴を掘り影を愛撫した
彼らの泥を溶かし彼らの氷を溶かすため
はっきりと見るひとつの眼のようた
細い草がツバメたちの飛ぶのを停めた
そして秋はくらやみの袋に重くのしかかった
おまえはやってきた 岸べは流れを解き放った
海へと流れをみちびくために
おまえはやってきた おれの苦しみの奥底に
空気もない森から引き離された木よりも高く
すると悲しみや懐疑の叫びは潰(つい)えさった
おれたちの愛の日の前に
おまえはおまえの信頼でおれを包んだ
(『フェニックス』)
1946年9月、エリュアールはメキシコを訪れた。そこでひらかれる世界平和大会に出席するためである。ここでエリュアールは平和大会のさなかにふさわしく、「その人たちには戦争は子供のない女のように見えた」とうたって、ふたたび戦争、死、孤独を拒否している。
そうしてエリュアール再生の奇跡がおこるのは、このメキシコにおいてである。
ここで九月の光のなかで彼はドミニックに──最後の恋人に出会ったのである。彼女の出現は、「ドミニックきょう現われる」などの詩に調子高くうたわれる。

(『エリュアール』ドミニック──新しい愛)
おまえはやってきた おれはとても悲しかった おれはうんと承諾した
おれが世界にうんと承諾したのはおまえに会ってからだ
少女よ おれはおまえを少年のように愛した
自分の少年時代しか愛せない少年のように
おまえはやってきた 生きたいという願いはひとつの肉体をもった
彼は重い夜に穴を掘り影を愛撫した
彼らの泥を溶かし彼らの氷を溶かすため
はっきりと見るひとつの眼のようた
細い草がツバメたちの飛ぶのを停めた
そして秋はくらやみの袋に重くのしかかった
おまえはやってきた 岸べは流れを解き放った
海へと流れをみちびくために
おまえはやってきた おれの苦しみの奥底に
空気もない森から引き離された木よりも高く
すると悲しみや懐疑の叫びは潰(つい)えさった
おれたちの愛の日の前に
おまえはおまえの信頼でおれを包んだ
(『フェニックス』)
1946年9月、エリュアールはメキシコを訪れた。そこでひらかれる世界平和大会に出席するためである。ここでエリュアールは平和大会のさなかにふさわしく、「その人たちには戦争は子供のない女のように見えた」とうたって、ふたたび戦争、死、孤独を拒否している。
そうしてエリュアール再生の奇跡がおこるのは、このメキシコにおいてである。
ここで九月の光のなかで彼はドミニックに──最後の恋人に出会ったのである。彼女の出現は、「ドミニックきょう現われる」などの詩に調子高くうたわれる。

(『エリュアール』ドミニック──新しい愛)
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