ランボオ「三つのベエゼの喜劇」(初めての夜)

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 三つのベエゼの喜劇
                    アルチュール・ランボオ

かの女が 肌もあらわに 着物をぬぐと
無遠慮な 大きな樹は
その葉さきを 窓べにのばしてきた
いたずらそうに 近く 近く

わたしは大きな椅子に腰かけ
はだ脱ぎで かの女は手を合せた
かの女のしなやかな 細い小さな足は
床のうえで 喜びで ふるえた

私は見とれた 蝋色の口
木漏れ陽が かの女の頬と
その胸に きらきらするのを
薔薇の木の蝿だ

おれは かの女のしなやかな踝(くるぶし)に キッスした
かの女は とても気恥ずかしそうに長く笑った
明るく ふるえて
水晶の笑いが こぼれ落ちる

下着の下の 小さな足は
ひっこめながら
元の通りになって
『もうおしまい?』

最初の大膽な許し
笑いが こらすような 風をする

わたしの唇の下で
身をもがく 可愛い子
おれはやさしく 彼の女の目にくちずけした
かの女はひよわな頭をうしろへのけざまに
『ああ なおいいわ』

『ねえ わたしに言いたいことがある……』
おれは かの女の胸に 残りのベーゼをした
そのベーゼは かの女を笑わせた
もっとねがうような うれしそうな笑いを

(ノート下書き S18)

*この詩について「(西条八十)先生のランボオについての講義で、忘れられない一つの詩節がある」と「西條八十先生の思い出」に書いています。

ランボオ
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