「喜び」は本当にやってきたのか──映画「NO」にふれて

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映画「NO」の最終盤、数十万人の人びとがオヒギンス公園に集まり、歴史的なNO、ピノチェト・ノーの勝利を祝った。熱狂し、喜びにあふれる会場をあとに主人公レネは無表情でスケートボードを走らせる。行く先は息子の待っている家。最後は現代的な広い広告ビジネスのオフィスでクライアントにプレゼンするレネの姿で終わる。
その後のチリの歩んだ社会状況を暗示する終わり方だ。

<「喜び」は本当にやってきたのか>(映画「NO」パンフレット)で高橋正明氏が概略次の様に解説しています。

・・・ピノチェト軍政が残した新自由主義経済モデルによりチリは世界で最も不平等な国になった。人びとの価値観・社会観を変え、社会的な連帯の精神は姿を消し、私的な利益追求と消費を美徳とする雰囲気が社会全体に行き渡った。民政移管した後の歴代政府も独裁時代の経済政策を基本的に踏襲、2010年には右派のピニェラが大統領に当選し、政治面でもピノチェト支持派がチリを牛耳ることとなった。ラライン監督が映画「NO」の企画を持ちかけられ、制作に取りかかったのがこの時期だった。チリの現状を見た時、果して「NO」が勝ったといえるのか。これこそがこの映画にララインが込めた思いだったのではないか・・・。

しかし最後に高橋氏は現在のチリの動向にふれて「新しい世代への希望」を大略次の様に語っています。

・・・ピニェラ政権の民営化による教育制度改悪にたいし、学生たちの大規模なデモ行進がくりひろげられ、多くの国民の支持を得た。一方ピニェラの支持率は20%台と史上最低を記録した。ピニェラの後任を選ぶ2013年の大統領選挙では2人の女性候補が対決した。右派が推すエブリン・マテイ、マテイ空軍司令官の娘と、ミシェル・バチェレ、彼女の父バチェレ将軍はアジェンデ政権に協力的だったとしてクーデターの際に逮捕され、拷問されて獄死した。大統領選挙はバチェレの勝利に終わった。2014年3月11日、バチェレは新大統領として宣誓した。大統領の肩章をバチェレの肩にかけたのはその日上院議長に就任したばかりのイサベル・アジェンデ、故アジェンデ大統領の娘だった。接吻と抱擁を交わす二人に拍手を送る新議員の中に4人の20代の若い男女がいた。学生運動のリーダーだった若者たちで、それぞれの選挙区でトップ当選を果たした。そのうちの一人のスポット制作責任者を務めたのがラライン監督だった。

映画「NO」http://www.magichour.co.jp/no/introduction/
監督 パブロ・ラライン
原作 アントニオ・スカルメタ
主演 ガエル・ガルシア・ベルナル(「モーターサイクル・ダイアリーズ」)
製作国 チリ 2012年
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