チリ映画「NO」──軍事独裁政権を倒したノーの運動を描く

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映画ノー

1988年、チリで行われたピノチェト信任の国民投票で「ノー」が勝利し、ピノチェトは退陣に追い込まれました。メディアを完全に握り、政治的にも圧倒的に強大な軍事政権を相手に、数カ月前まで誰も予想しなかった反軍政派の勝利でした。この勝利には1日15分だけ「ノー」の運動に許されたテレビ宣伝が決定的な役割を果たしました。

・・・十五分の短い放送にもかかわらず,いやまさに十五分という短い時間だったからかも知れない,「ノー」の番組は絶大な効果を生んだ.皮肉なことに,軍政側がこれまで権力と資金力にものを言わせてテレビ放送を独占してきたことが裏目に出た.十五年間にわたってブラウン管からは軍政側の決まり切った宣伝文句しか聞こえてこなかった.その同じ画面から,突然,それまで沈黙を強いられてきた声が,豊かなイメージ,美しい色彩,新鮮な表現でとびこんできた.十五年間,テレビの世界には,弾圧も,拷問も,殺害も,行方不明も,国外追放も,亡命,貧困も一切存在しなかった.しかし「ノー」の番組は視聴者一人一人が抱えている問題を正面から取り上げた.十五年間で初めて,人々は自分たちが蒙っている問題をテレビの画面に見た.それまで自分のまわりの狭い範囲だけで語られていたことが,おおやけにテレビの画面で取り上げられるのを見た.そして自分たちが一人ぼっちの存在ではないこと,自分の問題が他の人たちの問題でもあることを確信したのである・・・
(有延出「チリよ、喜びはもうすぐやって来る」『文化評論』1989年1月号)

このノーの運動の歴史的勝利を主題にした映画「NO」がチリで制作され、この9月から日本で上映されています。各地で上映されていますが、長野市での上映は終わり、東京は「渋谷アップリンク」で11月7日までです。また、映画パンフレットに高橋正明先生(東京外国語大学名誉教授)がチリの政治背景を解説しています。

*高橋正明先生のWEBサイトに『文化評論』の「チリよ、喜びはもうすぐやって来る」が掲載されています。ここでは「ノー」のテレビ番組の豊かな内容が詳細に書かれており、映画『NO』に出てくる映像の詳しい解説になっています。

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