シュペルヴィエールの声

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パリn


7 シュペルヴィエールの声


 フランスの不幸に、こころ痛めた詩人の声は、遠い国外からもやってきた。
 一九四一年十二月、アルジェで刊行されていた『フォンテーヌ』誌に、大詩人ジュール・シュベルヴィエールの詩が掲載された。戦争が起きたとき、シュベルヴィエールは生まれた故国ウルグワイにいた。しかし、かれの真の住所はフランスでありパリであった。
 
 空の高みからのように わたしはフランスを見つめる
 辱めのどん底にあるその町まちを 野を
 断罪されるべき進撃者どもに囚われたものよ
 不屈に生き残るわれらを わたしは見る

 おおフランスよ わたしはおんみと二人だけで話したい
 かすんだ遠い彼方の闇の中なるおんみよ
 おんみの不幸は深いので 遠くのものをも傷つけ
 死の身ぶるいは 四方の空間をゆさぶり訴える

 「よそもの」と自称していた詩人も、一九四〇年からは、不幸なフランスのために多くの詩をよせたのだった。それらは『不幸なフランスの詩』(一九四三年)としてスイスのヌーシャテルから刊行された。詩人の声は国境を越えて鳴りひびいたのである。

 パリ
            シュベルヴィエール

おお 傷口のように
開いた都市(まち) パリよ
どうして おまえは
緑の野にならなかったのか

いまや おまえは
敵の眼に見つめられ
新しい耳が われらの
古いもの音に聞き入る

覗かれる井戸のように
セーヌは 見張られ
その流れは 昼も夜も
囚われのまま 流れる

あの石に刻みこまれた
フランスの 全世紀は
大いなる怒りのうちに
われらから去ってゆくのか

異国の 兵隊どもで
影も 重ぐるしい
危険の さなかに
そっととどまろうとて

すばらしいものは姿をかくす
おのれ自身でとどまり
われらを裏切らぬために
かれらは 死をえらぶ

<『レジスタンスと詩人たち』>

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