ランボオ「夜明け」

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夜明け


(『ランボオ詩集』─イリュミナシオン)

 この詩は『イリュミナシオン』のなかでももっとも美しい作品のひとつとして知られている。
 自然への愛は、ランボオにおいては、情熱的で、きわめて官能的な様相をおびる。初期の「感覚」という詩で、彼は早くもこう書いている。

  そしておれは行こう 遠く 遠く 放浪者のように
 「大自然」のなかを 女といっしょのように幸福に

 この散文詩でも、詩人は夜明けを「ブロンドの髪をふりみだしたような光の滝」と擬人化し、女神として見るにいたる。彼は女神のヴェールをはぎとるが、彼女は逃げてしまう。けっきょく、「拾い集めたヴェールで」彼女を包んでやって、ようやく彼女を抱くことができる……女神が鐘楼や円屋根(ドーム)のあいだを逃げまわるというイメージは、その後のシュルレアリストたちの想像を先取りしているようである。ここで詩人はギリシャ神話の「あけぼの」の女神エオスを恋人に仕立てているように見える。
 「夏の夜明け」は、ランボオがいつも愛していた「えも言えぬひととき」である。ドゥラエに宛てた一八七二年六月の手紙にも彼は書いている。「ぼくは、朝まだきの、このえも言えぬひとときに浸った樹や空をよく見ることにしている。」──この「夜明け」もその頃に発想されたものかも知れない。
<『流域』26号 ランボオ断片(四)1989.4>

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