アメリカ機の墓場で

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アメリカ機の墓場で
                      スオン・ジウ 大島博光訳

きょうは ベトナム民主共和国の
二十周年記念日だ
朝 空と大地とが一つにつながり
風はかろやかに雲の群れを吹きやり
新しい家家が 青空に向って窓をひらいていた
おれの心はよろこびで晴ればれとしていた
おれは「統一公園」を散歩してもよかったし
あるいは 街をぶらぶらして 屋根に映える
八月の光りに酔うこともできた
しかし けさ 革命の空の下で
おれは まっすぐに行ったのだ
アメリカ侵略者どもの飛行機の墓場へ

落っことされて めちゃくちゃになり
押しつぶされ 反(そ)りかえった 残骸の山
アメリカの悪魔どもが ひんまがって横たわっていた
この残骸の前にいると 味方の火器の 火を吹く音がきこえてくるようだ
炎の燃えあとが 翼についている
頭部と胴体と ばらばらになった無数の翼の破片が
やつらの不幸な冒険を比べるために集められていた
銃弾におびえふるえている「ファントム」の幽霊(ファントム)!
ひとにぎりの骨となった「空の海賊」
驚くべき「神の雷」もいまは静かにねむる
「十字」は ドル神のいけにえとなって
かたくひからびたわが身を嘆いている

この死神に仕えたものどもの醜悪な世界
それをおおう 地獄の煙りのなかに
おれはふとかいま見たような気がした
あの白髪(しらが)頭のようなホワイト・ハウスを
その窓のひとつひとつが吸血鬼の口なのだ
そしておれの耳にはきこえてくるのだ
飽くことを知らぬ飢えた狼どもの群が
たらふくつめこんだ狼どもの群が
うなり わめきちらし 吠えたてているのが
母と子が雨あられと降る爆弾の下で倒れる
子は泣き叫び 母おやは隠くれ場をさがす
おばあさんが 孫をかばおうとする……
ヤンキーよ こんな光景は人類の恥辱だ!

おれは 英雄主義を発揮した戦闘をしのぶ
この空は やつらのものではなく おれたちのものだ
下から投げられた 火柱が立ちのぼる
怒った大地から 雷鳴がとどろき 稲妻がひらめく
この防火網のなかを アメリカ機がとぶ
アメリカ機は翼を焼かれ いたるところで
山にぶつかり 堅固な城砦にぶつかるのだ

戦闘の熱気に身をふるわせながら おれは思うのだ
──いったい この青い空はだれのものか と
この青空は こいつら鴉どものものではない
こいつら アメリカの幽霊機のものではない
タン・チェオンの人たちは 五百機目の米機を射落した
一撃の下で 泥のなかにめり込むのがある
あんまり墜落するので その場に放ったらかし
腐るにまかせておくような場所もある
にがい風が嘆いている巨大な墓場……
方ぼうで ほかの残骸も見つかる
なんとみじめなやつら! おまえらはおそれおののくのだ
そよぐそよ風やつむじ風にゆれる草の葉にさえ
おまえらは 生命の流れにたいして暴力で向う
それだから
おまえらをやっつけるためには ひとにぎりの砂でも十分なのだ

米軍機の残骸の山をあとにして おれは出ていく
と おれの耳には めまぐるしい「時」の移りゆきのなかから
わきあがる笑い声がきこえてくる
鉄をつくる人たち すきをおしやる人たちが
敵にうち勝つのだ 勝利するのだ!
最初の抗戦で 落っこちた
爆弾の残骸から
よく鳴りひびくドラがつくりだされた
ロケットのしっぽは
妻よ きみの櫛になろう……
芽をだす椰子の実は
爆弾よりももっとつよいのだ

アメリカ機は おれたちの晴れた空から落ち
侵略者どもは 墓場への道をたどる
わが国の人びとは 爆撃の穴を埋め
こわされた道を直し
さらに新しい道をきりひらく
そうしてその傷ぐちをいやしながら
祖国はその身に新しい肉をもりあげていくのだ

(『ベトナム詩集』)
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