アラゴン「パリ」

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 パ リ      アラゴン 大島博光訳

わたしが胸に抱くのは あの影たちの劇場 パリだ
わがパリ わたしからすっかり奪いとることのできぬ わがパリ
ひとびとのくちびるから叫びを奪いとることもできぬ
わたしをパリから追い出すために 何が必然だったろう
わたしの心臓を抉(えぐ)りとってみたまえ きみはそこにパリを見るだろう

わたしが詩に歌ったのは そのパリについてだ
わたしの言葉は パリの屋根の奇妙な色をしている
そこに鳩の咽喉がくうくう鳴き その羽根が玉虫色に光る
パリよ わたしは自分(おのれ)自身よりも おまえについてよけいに書いた
年老いるよりも おまえなしでいることの方がつらい

時が経つほどに ひき裂かれたパリとわたしについて語ることは やさしくなくなろう
雲は サン・ジェルマン・デ・プレから逃げてゆくだろう
いつか まぶたの間の涙のような日がくるだろう
黄金色のアレキサンダー三世橋のような

その日きみは帰えってくるだろう わたしの哀歌をほしいか
石の楽器でわたしはその哀歌をつくり出した
ゴルゴタの十字架を抜くことができるだろうか
迷宮から抜け出るや アリアーヌは死にはてる
この歌(しらべ)は マジェタ大通りを歌っている
いやされぬ不幸をうたった歌は
深夜更けのイタリー広場よりも悲しく
憂鬱ゆえにポワン・デュ・ジウルにも似ている

(自筆原稿)
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