ヒクメット「誕生」Nâzım Hikmet

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  誕 生
              ナーズム・ヒクメット/大島博光訳

わたしの妻が
   わたしにひとりの息子をあたえてくれた
眉毛のない金髪の男の子を
青い産衣のなかに
   埋もれた
     陽のいろをした頭
重さはたった三キロ

わたしの息子が生まれたとき
朝鮮でもたくさんの子どもたちが生まれた
その朝鮮の子どもたちはひまわりにも似ていた
マッカーサーが彼らをなぎ倒した
彼らは死んでしまった
  まだ母親の乳を飲みたりぬままに

わたしの息子が生まれたとき
たくさんの子どもたちがこの世に生まれてきた
    ギリシャの牢獄のなかで
かれらの父親は銃殺された
かれらは牢獄の格子を見た
まるでこの世で最初に
   眺めなければならなかったもののように

わたしの息子が生まれたとき
たくさんの子どもたちがアナトリーで生まれた
黒い眼や
  青い眼や
    栗いろの眼をした赤ん坊たちだった
生れおちるときから
   かれらは虱だらけだった
かれらのうちの幾人が
   奇蹟的に生き残るだろうか
      誰が知ろう

わたしの息子が生まれたとき
たくさんの子どもが世界のもっと大きな国ぐにで生れた
かれらは生まれるとすぐに しあわせだった

わたしの息子がわたしの年にまでなる頃
もうわたしは この世にはいないだろう
だが この世界はすばらしい揺りかごになっているだろう
その揺りかごは
   青絹の産衣のなかに揺するだろう
黒い子ども
  黄いろい子ども
    白い子ども
      すべての子どもたちを

(自筆原稿)
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