木のうえの詩人たち
関敦子さんへの挽歌
大 島 博 光
あなたはひとりの男を愛した 詩人のように、
かれのなかの詩人を愛した 少女のように
その詩人のなかの詩を愛した 恋人のように
あなたの恋人は詩人は木に登って歌っていた
春さきの風のように鴬のようにうたっていた
空遠くあけぼの色をした未来をのぞき見ながら
あなたの恋人は詩人はさきに死んでしまった
こんどはあなたが木にのぼって歌いはじめた
死んだ恋人に詩人にこだまを愛を返すように
愛と詩とはひとつだった あなたの泉のなかで
死んだ恋人を詩人を愛することで励まされて
あなたは死をのり越える愛のうたを歌った
木のうえに登って歌ったひと組の詩人たち
あなたたちの声をいまも風がつたえてくれる
絶望を吹っとばそう 愛して生きてうたおうと
あなたはいつもまた終着駅でひとり待っていた
あの恋人の詩人の乗った目に見えない電車を
あなたはそれを目に見えるように歌ってみせた
ある晴れた日 その見えない電車に乗って
とうとうあなたもはるか遠くへ行ってしまった
あなたの恋人が詩人が待ちわびているところへ
愛して歌って遠く旅ゆくひとは幸いなるかな
一九九七年二月
(『稜線』、「大島博光詩集1995〜2003」)
関敦子さんへの挽歌
大 島 博 光
あなたはひとりの男を愛した 詩人のように、
かれのなかの詩人を愛した 少女のように
その詩人のなかの詩を愛した 恋人のように
あなたの恋人は詩人は木に登って歌っていた
春さきの風のように鴬のようにうたっていた
空遠くあけぼの色をした未来をのぞき見ながら
あなたの恋人は詩人はさきに死んでしまった
こんどはあなたが木にのぼって歌いはじめた
死んだ恋人に詩人にこだまを愛を返すように
愛と詩とはひとつだった あなたの泉のなかで
死んだ恋人を詩人を愛することで励まされて
あなたは死をのり越える愛のうたを歌った
木のうえに登って歌ったひと組の詩人たち
あなたたちの声をいまも風がつたえてくれる
絶望を吹っとばそう 愛して生きてうたおうと
あなたはいつもまた終着駅でひとり待っていた
あの恋人の詩人の乗った目に見えない電車を
あなたはそれを目に見えるように歌ってみせた
ある晴れた日 その見えない電車に乗って
とうとうあなたもはるか遠くへ行ってしまった
あなたの恋人が詩人が待ちわびているところへ
愛して歌って遠く旅ゆくひとは幸いなるかな
一九九七年二月
(『稜線』、「大島博光詩集1995〜2003」)
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