あの子はいつ来るんだろう?  ──コミューンの前夜 (8)あの子は いつ来るんだろう

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(8)
 あの子は いつ来るんだろう
                    ポティエ

あのいとしい 美しい
美しい子を おれは待つ
あの子の名を おれは呼び
道ゆくひとに 尋ねて歩く
 おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか

あの子の名を おれは呼び
道ゆくひとに 尋ねて歩く
あの子なしでは どうしよう
あの子なしでは 死にそうだ
 ああ おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか

あの子なしでは どうしよう
あの子なしでは 死にそうだ
はく靴もなく さまよって
口に入れる ものもない
 ああ おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか

はく靴もなく さまよって
口に入れる ものもない
凍(い)てつく空に 身はこごえ
身を横たえる 宿もない
 ああ おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか

凍てつく空に 身はこごえ
身を横たえる 宿もない
頭のなかを 風が吹き
うらみつらみが 駈けめぐる
 ああ おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか

頭のなかを 風が吹き
うらみつらみが 駈けめぐる
おれは売られる 奴隷の身
牛馬のように こき使われる
 ああ おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか

おれは売られる 奴隷の身
牛馬のように こき使われる
あの戦争は むごたらしく
高利貸めは 絞りとる
 ああ おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか

あの戦争は むごたらしく
高利貸めは 絞りとる
おれの生血を 吸う奴や
骨の髄まで しゃぶる奴
 ああ、おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか

おれの生血を 吸う奴や
骨の髄まで しゃぶる奴
あんまりひどい 貧乏に
根生曲りに.なりかねぬ
 ああ おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか

あんまりひどい 貧乏に
根生曲りに なりかねぬ
早く来てくれ いとし子よ
癒(いや)しておくれ 恋びとを
 ああ おれは待つ あの子を待つ
 まだ長いこと 待つのだろうか
                (一八七〇年 パリにて)

 この歌は、検閲の目をくらますために、巧みに恋の歌としてうたわれている。当局にも「美しいあの子」が何を意味するかはわかっていたが、恋を歌ったものとして、詩人は追及をのがれたのである。(第二次大戦中、ナチによる占領下で、アラゴンもまた同じような手法でレジスタンスの詩を書いて、検閲の目をくらましている。アラゴンはそれを詩の『密輸(コントルバンド)』と呼んだ。)
(つづく)

<『パリ・コミューンの詩人たち』>
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