ジャックリーヌ・ロックと「カリフォルニー」荘 (1) 画家とモデル

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ジャックリーヌ・ロックと「カリフォルニー」荘

(1) 画家とモデル

 フランソワーズ・ジローに去られて、ひとりぼっちになったピカソは急に老けこんだ。一九五三年末、ピカソは、坐っているモデル女とその前の毛むくじゃらの画家という主題にとりくむ。つまり有名な「画家とモデル」という主題のデッサンは、一九五四年二月三日までつづけられ、一八〇点のデッサンが描かれる。それは青春と愛を失った老人の嘆きであり、その内心を語る、哀れで皮肉な日記である。スペイン風でコミックでさえある、「女と猿」「猿とりんご」は、若い女と老人の物語を辛辣に描いている。
 それについてフェルミジエはつぎのような小さな物語を書いている。
 「……彼女は若い。わたしは老人だ。彼女はそこにいて、自分じしんの若さにうっとりと酔いながら冷淡で、わたしは手もさわれない。愛までが彼女におもねる。わたしにはすべてわかっている。だが彼女の美しさをほしそうに眺める以外、何ができよう? 彼女はわたしを離れてわたしを見ない。芸術と人生と、どちらに値うちがあるのか。われわれの仮面をとり換えよう。絵画は退屈だ。おお絵画! そして絵画の愛好者たちは、うるさくて、ばかもので、のぞき魔で、鼻眼鏡をかけた老いぼれだ。わたしは画家だ。そしてシャルダンがいみじくも言ったように、画家は猿だ。絵画はサーカスのようなものだ。われわれはとんぼがえりをうち曲芸をする。そこにはいつも、われわれに拍手を送るばかものがいる。そのうえ女たちは猿が大好きだ……」
(つづく)

<新日本新書「ピカソ」>
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