ミラボー橋の詩人アポリネール(中)──異国に連れさられた女 Apollinaire - Poète de Le Pont Mirabeau

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フランス紀行 1

ミラボー橋の詩人アポリネール(中)──異国に連れさられた女

 まことに、日日は去り、アポリネールは死んだが、彼の詩は残った。失恋の悲しみと無常をうたいながら、この詩には東洋風な諦観の心情は流れていないように思われる。「わたしは残る」ということばは諦念とは無縁のものである。
 それかあらぬか、マリイがほかの男と結婚したあとになっても、なおいくつもの詩をアポリネールはマリイに書き贈っているのだ。一九一五年に書かれた『異国に連れ去られた美女』もそのひとつである。当時、彼女はドイツ人の画家と結婚してスペインに行っていた。それもどうやら、アポリネールを避けての逃避行であったらしい。しかもなお、彼はマリイへの未練をうたわずにはいられなかったのである。この詩で、虹とはマリイそのひとであり、恋しい女は、ひとときの幸せののち、美しい虹のようにはかなく過去のなかに消えてゆく・・・虹のイメージは、マリイの美しさを浮かびあがらせると同時に、「消えさるもの」の象徴として、二重に美しい、みごとな効果をあげている。

  異国に連れさられた女

 行ってしまえ 行ってしまえ わたしの虹よ
 行ってしまうがいい 愛くる色艶(いろつや)よ
 遠く 消えさるのが きみの本性なのだ
 こころの変りやすい 女(ひと)よ

 こうして虹は連れ去られた──連れさって
 だれが彼女を 虹色に輝やかせるのだろう
 だがここには 彼女のかわりに 旗がひとつ
 へんぽんと 北風にひるがえっている

(つづく)
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