今野大力

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 今野大力
                          大島博光

静かに眠るに眠れず 夜ふけに
むっくと起きあがる死者たちがいる

詩人今野大力も起きあがって
一夜 わたしにこの詩を書かせた

    *

その暗い時代 狼や犬どもが
牙をむき出して のさばっていた

犬どもは 小林多喜二を噛み殺した
無法にも からだじゅう紫腫れにして

そうして 今野大力にも噛みついて
この若い詩人を 死へと追いやる

傷ついた詩人を乗せた車は行く
花咲くさくらの 並木道を

小金井堤の 花におくられて*
帰えることのない死への道を

暗い狼の時代の いばらの道に
赤い野バラは 咲いて散った

未来に身をささげた若ものは
雄々しく歌った 若い詩人は

そのとき ひとりの詩人が叫んだ
「この人を視よ」と くらやみに

そうしてその暗い空から残った
夜空にもひびいたヒバリの歌

*「花におくられて」──大力の詩句

      一九九六年

(自筆原稿C)


今野大力(1904年2月5日〜1935年6月19日)
1931年日本プロレタリア文化連盟(コップ)の結成に参加し、『プロレタリア文学』などに反戦詩を発表。1932年3月、駒込署に検挙され、その時の拷問がもとで入院。回復後の1933年、日本共産党に入党。病気に苦しみながら創作を続けるが、1935年結核で死去。

──父が一人になってから毎月二回、私は”恋人に会いに行く”ように父の許を訪れ、幸せな時間を過ごしました。毎年、桜の季節には玉川上水に沿った通りをお花見ドライブしました。拷問されて重体となった今野大力が寝台車でこの通りを送られ、この桜をみて「花に送られる」を書いたんだよ、と感慨深げに語ってくれました。──(「父・大島博光について」『詩人会議』2006年8月号)

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