『パッチワークに願いを込めて』"Threads of Hope" (3) パッチワークを作り始める

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(3) パッチワークを作り始める Patchwork production began

家

ビオレータ・モラレスさんの家はサンチャゴ市北部にあります。行方不明になった兄のニュートンは一家の大黒柱でした。残された家族は必死で生計を立てなければなりませんでした。
「収入がなくなってからは、食べるものを買うために母が持っていた宝石やなにかを売らなくてはなりませんでした。とにかくお金に困っていたんです。家の中がこんな状況では軍事政権に抗議すらできません。バス代さえないんですから。そこでパッチワークを作ることを思いついたんです。」(ビオレータ・モラレス) 

教会

教会の援助のもと、女性たちはアルピジェラというパッチワークを作り始めました。布の切れ端を縫い合わせ、軍事政権のもとに起きたことを描いたのです。彼女たちはこのパッチワークを外国で展示し、販売しようとしました。しかし政府はこれを反体制的な活動として弾圧したのです。女性たちは出来上がったパッチワークをこっそり教会に持ち込み、保管しました。

長靴
35 プラカード
馬

ニエール

ドリス・メニコーニさんもパッチワークを作り続けてきました。農民の組合を組織していた息子ニエールは逮捕された時23歳、消息は今も分からないままです。
「私は声に出せない心の叫びをパッチワークに込めています。それは軍事政権への反抗、息子を探し求める叫びや嘆きなのです。」(ドリス・メニコーニ)

縫う

パッチワークという新しい芸術

アンデス

ラテンアメリカでは政治運動家の肖像を壁に描く伝統があります。それがチリの女性に代々伝わる裁縫技術と結びつき、パッチワークという新しい芸術が生まれました。パッチワークの明るい色調と単純な絵柄には、女性たちの力強く複雑な思いが込められています。

壁絵

パッチワークのもつ重要性に気づく

新聞

国外でこのパッチワークのもつ重要性に最初に気づいたのはアメリカに移住したチリの詩人マージョリー・アゴシンさんでした。パッチワークを作る女性について本も出版しています。

本
アゴシン

「不思議なタペストリーです。青や黄色といった鮮やかな色がつかわれ、明るい太陽も描かれています。ところが絵の本当の内容は深い悲しみと政府による暴力なのです。ここに表されているのは希望・改革・生命力なんです。そしてこの生命力は制作活動の現場には溢れています。活動現場に行けば分かりますが、そこは死者を想って嘆き悲しむ場所ではありません。命について語る場所です。たとえ生活が独裁政権に支配されても、心まで死の恐怖に支配されてはいけないのです。」

襲撃
輪
笑い

危険をおかして作る

連行

「何か新しいことをして政権に抗議したかったのです。パッチワークはそこから生まれました。でも最初の頃は2ドルでしか売れませんでした。夜中の2時3時にロウソクの明かりをたよりに縫ったんです。夜は外出禁止令が出ていたので、明かりが外に漏れないように窓や隙間に毛布を下げました。家にパッチワークがあるのは銃を隠し持っているのと同じでした。ましてや作るのはもっと危険でした。」(ビオレータ・モラレス)
 秘密警察は危険分子と見た人を独断で逮捕できることになっていました。女性たちはパッチワークを布団の中に隠しました。見つかれば留置場に入れられるだけでは済まないこともあったのです。

警察軍
弾圧

パッチワークに手紙を入れる

手紙

「最初の頃つくったパッチワークには後ろにポケットをつけて手紙を入れました。パッチワークを作った理由を世界の人に知って欲しかったのです。」(ビオレータ・モラレス)

アゴシン

「手紙には自分たちが動物のように虐待されていること、平和を望んでいること、愛する家族を探していることまでが書かれています。この手紙が、パッチワークを作った人と受け取った人との間に共通の秘密をつくり、心を動かしたのです。」
(つづく to be continued)

『パッチワークに願いを込めて ~ピノチェト軍政下・女性たちの闘い~』
"Threads of Hope" produced by CANAMEDIA PRODUCTIONS
・制作:カナメディア・プロダクションズ 1992年
・NHK教育「海外ドキュメンタリー」1999年2月12日 放送
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