竹田茂夫「農業と市場原理」

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東京新聞「本音のコラム」で竹田茂夫氏がTPP参加に向けて安倍晋三首相が唱える「強い農業」の姿を暴き、自然と人間との関係で農業や農村を守る意味を説いている。

竹田茂夫

農業と市場原理
                竹田茂夫

 三年程前、民主党幹部の発言が顰蹙(ひんしゅく)を買ったことがあった。国内総生産(GDP)の1.5%しか貢献していない農業が、頑迷に自由貿易を拒否して他産業を犠牲にしているというのだ。英国の老舗週刊誌も同じ口吻(こうふん)で、農家を不当に優遇する欧州連合の農業政策を批判する。
 無論、市場で取引きされないものはGDPに算入されない。環境・生態系・景観の維持、文化継承、地域社会形成などの農業や農村の多面的機能や食糧安保などのプラスの外部性は市場とGDPの埒外(らちがい)だ。
 反対に、自然を(大地や水や動物や果ては遺伝子まで)収奪しても、マイナスの外部性の対価を支払わずに、見かけの上で効率を達成するのが市場型農業で、米国農業はその究極の姿だ。見渡す限りのコーン畑(単一栽培)やひしめき合って人工飼料をはむ無数の牛の群れ(集中飼養)が原風景となる。広大な土地に点在する孤立農家が粗放的農業を行い、巨大アグリビジネスが元締となる米国農業には、日本や欧州の農村が守ろうとするコミュニティー・持続可能性・生物多様性等は無縁の価値だ。
 さらに、農業には市場が考慮しない正負の効果(市場の失敗)を超えた意味合いがある。農業は、自然と人間の関係という根源的な問いを市場原理の席巻する現代に提起していると考えるべきだ。(法政大教授)
< 東京新聞2013.7.11朝刊 本音のコラム>

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