祖国は怒り叫んでいる

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 祖国は怒り叫んでいる

平和のわら屋根に火をつけようために
しぼり機をぐっと締めつけようために
われらの口に猿ぐつわをはめようために
水爆に思いのままにスイッチを入れようために

新しい首縄投縄をないなおしているやから
祖国とその息子たちを売る裏切りのやからよ
きくがいい ごうごうと祖国の松林雑木林が
そのすべての枝葉でうなりを上げているのを

もしもなお聞く耳をもつならば 聞くがいい
山々のひだ 野の穂麦のひとつひとつが
海を奪われた海べの砂のひとつひとつが
それぞれの声をあげて怒り叫んでいるのを

きくがいい 刺し殺された労働者のうめきで
英雄的な三池が山ぐるみで叫んでいるのを
だが 久保清さんの血と死をむだにするなと
怒りの腕をかたく組みなおしたその雄叫びを

きくがいい 畑という畑を原爆基地に奪われて
弾丸拾いのさなか射ち殺された若ものの叫びで
母の手から引きさかれたみなし子の声で
沖縄が毒あるそてつをたべながら叫んでいるのを

きくがいい その母も外国の泥靴にふみつけられて
基地だらけ傷だらけで怒り叫んでいるのを
だが 母を裏切りものの手から奪いかえせ
母をまもれと 立ち上がった息子たちの叫びを

おお 祖国を売りわたす裏切りのやからよ
また見るがいい 君らの模範である李承晩を
ばくは見た テレビの白黒の映像いっぱいに
京城の街を突き進む南朝鮮の若者たちを

若者たちに銃口を向けたアメリカ製の戦車を
力まかせにこん棒をふりおろすその犬どもを
並木かげに倒れた若者の青ざめ引きつった顔を
李承晩の道をくりかえすのはもうたくさんだ

平和のわら屋根に火をつけようとするやからよ
きくがいい 日本の若者たちの決意と叫びを
おれは二どときのうの過ちをくりかえさぬ
アジアの友に向けて二どと銃をとらぬだろう

おれ達はその手首をつかんで払いのけるだろう
新しい首縄投縄をないなおしているその手首を
祖国とその息子たちを売る裏切りのやからよ
君らを海のかなたであやつるワシントンのやからよ


(『大島博光全詩集』『アカハタ』1960.10)
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