ネルーダ『大いなる歌』1. 地上のランプ(2)マヤ──チチェン・イッツア

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 マヤ─チチェン・イッツア

 つづいてマヤ文明が歌われる。

 マヤ族よ きみたちは
 偉大な知識の樹を 切り倒した
 とうもろこしの部族のかぐわしい匂いのなかに
 研究と死との 構造が築かれた
 チチェンよ おまえのざわめきは
 密林の夜明けとともに 湧きあがった
 労働は次第に おまえの黄色い城砦のなかに
 蜂の巣穴の均斉(シムメトリー)をつくりだし
 思索は 台石の血をおびやかし
 くらやみの天空を探り
 医学をみちびきだし
 石のうえに記録をきざんだ
 
 ここには、マヤ文明の驚異的な発展がうたわれている。九世紀頃に築かれたといわれるチチェン・イッツアは「マヤのメッカ」と呼ばれる首都で、数学、天文学、医学などの知的活動を始めたことで知られる。こんにち、このチチェン・イッツアの大遺跡は、メキシコ・ユカタン半島の緑のジャングルのなかに埋もれながら聳えている。目のくらむような傾斜の急な階段をもってそそり立ったピラミッド神殿。崩れかけながら、ジャングルのうえにそびえている天文台。神秘をひめた「いけにえの泉」。・・・
 ネルーダがチチェン・イッツアに呼びかけたこの詩の最初のイメージ──「おまえのざわめきは/密林の夜明けとともに 湧きあがった」というのは意味深い。それは人類の知的活動の夜明けが、密林の夜明けと同時代であった、という意味である。
 「いけにえの泉」が示すように、マヤ文明にもまた血なまぐさい迷信があったことをネルーダは知っている。しかしネルーダはマヤ文明を特徴づけるヒュマニスム、知的探求、科学的前進を強調して、これを歌っているのだ。

(『パブロ・ネルーダ』──『大いなる歌』)
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