電気を拝借

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電気

 彼女たちが作っているのはアルピジェーラと呼ばれる一種のパッチワークである・・・。描かれているのはいずれも、軍政下のポブラシオンでの自分たちの生活や体験である。だからアルピジェーラを並べてみるとポブラシオンでの生活の様子がよく分かる。背景はかならずと言っていいほどアンデスの山並である。その向うから太陽が顔を出し、手前にポブラシオンの小さな家々が並ぶ。目につくのは、送電線から家々に引き込まれている電線だ。たいていは住民が勝手に引いたもので、彼らはこれを「引っかける」という。早い話が盗電である。
 このなかで引っかけている家は、と女性たちに聞くと、笑いながらほぼ全員が手を上げた。もちろん違法だから電力会社に見つかれば罰金である。そのため会社の見回りが来たときに備えて、遊んでいる子どもたちの知らせですぐにはずせるようになっている。「でもときどき猫に鼠を食べられちまうんだ」とひとりが言うと、みなどっと笑った。引きこみ線を引っかける仕掛けの部分は、格好が似ているところから「鼠」と呼ばれているのだそうだ。だから盗電の電線をはずしてまわる電力会社の職員は、鼠を食べに来る「猫」ということになる。電力会社のトラックに乗った「猫」たちが「鼠を食べている」場面はアルピジェーラによく登場するテーマだ。
(高橋正明『チリ・嵐にざわめく民衆の木よ』──ポブラシオンの女たち)
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