悲 惨
夜のひび割れた鏡のなかに
わたしは見た そそりたつ惨めな骨を
惨めな骨には 顔がない
惨めな骨には 眼がない
しかも それは語っている
しかも それは見つめている
枯れた樹よ
乾いた谷間よ
洞れた泉よ
乾いた空よ
惨めな骨には 口がない
惨めな骨には 耳がない
しかし それは聞いている
しかし それは歌っている
樹液よ めぐれ
雨よ 降れ
河よ ながれよ
泉よ 湧け
惨めな骨には 足がない
惨めな骨には 手がない
しかし それは立っている
しかし それは歩いてゆく
<『現代詩人集』1940年>
夜のひび割れた鏡のなかに
わたしは見た そそりたつ惨めな骨を
惨めな骨には 顔がない
惨めな骨には 眼がない
しかも それは語っている
しかも それは見つめている
枯れた樹よ
乾いた谷間よ
洞れた泉よ
乾いた空よ
惨めな骨には 口がない
惨めな骨には 耳がない
しかし それは聞いている
しかし それは歌っている
樹液よ めぐれ
雨よ 降れ
河よ ながれよ
泉よ 湧け
惨めな骨には 足がない
惨めな骨には 手がない
しかし それは立っている
しかし それは歩いてゆく
<『現代詩人集』1940年>
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