ψυχη(プシウケー)よ
いま両親と共に、 われらの《聖地》渋へきてゐます。君がいっしょでないのが残念です。徴用の方は九分通り解除になるやうです。またしても美神の恩寵といふほかありません。尤も、まだ確定したわけではありませんが。
かかる美神の微笑みの故に、九日金曜日、この間と同じく、前橋二時半頃着の汽車でゆきますから、もしできたら、その頃駅へ出てゐて下さい。駅に出られなかったら、お電話します。(渋から電話しようと思ひましたが、なかなか通じさうもないので、速達にしました。)
これから、ひとり、スキイを担いで、上林の裏のゲレンデへゆきます。あの坂の下で、けふはひとりで林檎をたべることになりませう。紅のマアフラに髪を包んで、あの道を昇って行ったψυχηを想ひつつ。
★ここに八日までゐます。それから一度帰宅して、九日に行きます。
温き泉にきたけれど、 春遠ければ
わが愛(めぐ)しみずはめは いまだ生(あ)れず、
われひとり泉に浸りて、
ただひた恋ふるかな、呼ばるかな、
わがいと遠き美(うま)しみずはめ!
ψυχηよ、わが訪るる日まで、
君が紅き頬を ボレアスに噛まるるなかれ、
微笑み浮べて、すこやかに泳ぎてあれ!
Baiserをはるかに送りつつ。
Ma chère, chère ψυχη(わが親愛なるプシウケへ) Nal Cisse(ナルシス)
Le 6, fev. 1945(2月6日)
*渋温泉が二人の聖地になっていた。
いま両親と共に、 われらの《聖地》渋へきてゐます。君がいっしょでないのが残念です。徴用の方は九分通り解除になるやうです。またしても美神の恩寵といふほかありません。尤も、まだ確定したわけではありませんが。
かかる美神の微笑みの故に、九日金曜日、この間と同じく、前橋二時半頃着の汽車でゆきますから、もしできたら、その頃駅へ出てゐて下さい。駅に出られなかったら、お電話します。(渋から電話しようと思ひましたが、なかなか通じさうもないので、速達にしました。)
これから、ひとり、スキイを担いで、上林の裏のゲレンデへゆきます。あの坂の下で、けふはひとりで林檎をたべることになりませう。紅のマアフラに髪を包んで、あの道を昇って行ったψυχηを想ひつつ。
★ここに八日までゐます。それから一度帰宅して、九日に行きます。
温き泉にきたけれど、 春遠ければ
わが愛(めぐ)しみずはめは いまだ生(あ)れず、
われひとり泉に浸りて、
ただひた恋ふるかな、呼ばるかな、
わがいと遠き美(うま)しみずはめ!
ψυχηよ、わが訪るる日まで、
君が紅き頬を ボレアスに噛まるるなかれ、
微笑み浮べて、すこやかに泳ぎてあれ!
Baiserをはるかに送りつつ。
Ma chère, chère ψυχη(わが親愛なるプシウケへ) Nal Cisse(ナルシス)
Le 6, fev. 1945(2月6日)
*渋温泉が二人の聖地になっていた。
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