エリュアール「恍惚」

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 恍 惚
          ポール・エリュアール

この女の風景をまえにして
わたしは 火をまえにした子どものようだ
ほのかにほほえみ 眼には涙をうかべ
この風景をまえにして わたしのなかですべてがざわめく
ならんだ二つの季節のような 二つのあらわな肉体を映しながら
鏡たちは たがいに曇らしあい 照らしあう

この地平線のない空のした この道のない大地のうえで
わたしには 迷いこむ たくさんの理由(わけ)がある
そのかずかずのうつくしい理由を きのうまで わたしは知らなかった
これからは もうけっして忘れぬだろう
まなざしの うつくしい鍵 娘たちそのものをとく鍵
この風景をまえにして 自然はわたしのものだ
何よりも よい理由
おなじひとつになった星
火 さいしょの火をまえにして

大地のうえ空のした わたしのこころのそとで うちがわで
二番めのつぼみ さいしょの緑の若葉
海は その翼で おおいかくす
そして わたしたちにうち勝った太陽
この女の風景をまえにして
わたしは 火のなかの一本の木の枝のようだ

<『エリュアール詩選』1956年>
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2012/11/26(月) | まっとめBLOG速報