モン・ヴァレリアン

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 モン・ヴァレリアン

パリ西郊シュランヌの駅から
爪先立ちに 急な坂を登ってゆく
瀟洒な住宅や小さな工場のあいだを
ひと登り、ふた登りして登りつめると
黒松の木立がならび 芝生の斜面があり
その向こうに かなり広い広場がひらける
正面には山の斜面を削って 大きな壁面がつくられ
大きなキ字型の十字架が立ち
その前に 永遠の火が燃えていた
ああ ここで限りもないフランスの愛国者たちの胸をめがけて
ああ ここに銃声が鳴りひびいたのだった
不吉な銃声の鳴りひびいた雑木林は
いまはひたすら 蝉しぐれにつつまれていた・・・

(草稿)

*この詩は大島博光全集の「ヨーロッパ詩集」には入っていません。「ランスの微笑み」の草稿といっしょに机の上に置いてありました。「パリの夏─フランスからのたより」(「赤旗」)にこの時のことを書いています。実際は蝉の声は聞こえなかったが、詩のなかでは銃声にかわって蝉しぐれがあたりをつつんでいるのです。『フランスの起床ラッパ』の「責苦のなかで歌った者のバラード」でうたわれたガブリエル・ペリの銃殺が行われたのもモン・ヴァレリアンでした。

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