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恐竜ティラノザウルスが

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 恐竜ティラノザウルスが
                 大島博光

恐竜ティラノザウルスが うろつきまわる
地球を股にかけて わがもの顔にのさばる
原子空母 原潜をつらねて 脅してまわる

そこのけ そこのけ 恐竜さまが通る
ミサイル クラスター爆弾 かついで通る
戦争と死をばらまくために 押し通る

湾岸戦争で 戦争はみごとに演出された
それは 花火のようなテレビ・ショオになった
そしてそれはきれいな戦争と 銘うたれた

だが 隠されただけだ 闇のなかに真実が
手足のない 血まみれの死者たちが
劣化ウラン弾による 怖ろしい症候群が

戦争の名目はいつでも でっちあげられる
独裁者の身勝手な偽善によって名づけられる
人権の名で 正義の名で 侵略が蔽われる

戦争のほんとうの演出家は 姿を見せない
舞台裏で高笑いしている黒子の姿は見えない
軍需独占資本には だれも気がつかない

恐竜ティラノザウルスが うろつきまわる
地球を股にかけて傍若無人にのさばる
世界じゅうに 怒りと憎しみが燃えあがる

いつか その炎は 恐竜をのみこむだろう

*テノラノザウルスのtyranoはtyrant=暴君・専制君主からきている。

(紹介)大島博光さんはよく知られるとおりアラゴンやネルーダの詩を翻訳されて私たちに大きな影響を与えてくださった大先輩詩人である。一九一〇年生まれの高齢にもかかわらず、詩人会議が呼びかけた緊急特集「報復戦争に反対する」(一月号)にこたえて、この力強い告発の詩をくださった。アメリカの報復戦争の本質をずばりとついている。湾岸戦争以来テレビ・ショーとなり「正義」の名のもとに大もうけする者がいる。新兵器を使うたびに国民の税金を燃やしながら。金権腐敗の日本自民党政府はそれに尻尾をふって有事立法や憲法改悪をたくらむ。私は「ことば」でたたかっている。
              (紹介・小森 香子)

<『平和新聞』2004.4.5>
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