ランボオ『神秘』

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 神 秘

 なだらかな斜面の坂のうえ、天使たちは毛のきものをひるがえす、牧草がはがね色に、またうす青いろに、光りかがやくそのなかで。
 燃える牧場は、まるい丘のうえまで、燃えあがり、はねあがってくる。左の方、高台の台地は、入りみだれた人殺しどもや、戦いでふみ荒らされ、不吉な叫びやざわめきが、曲線をえがいて流れてくる。右手の高台のうしろには東方への道がのび、進歩がある。

 さて、この場面の上の方、おびのように細長い空地で、夜のなかを駈けめぐる人間たちのどよめきや、ほら貝の音が、入りみだれ、はねかえる、そのあいだ、
 一方、またたく星星や空や、もろもろの花のようなやさしさが、斜面のうええ、花かごのように、降りてくる、おれたちの目のまえに。そうして下のほうの深淵を、香ぐわしく花のように匂わせ、青く青くそめるのだ。

<『ランボオ詩集』──イルミナシオン──散文詩抄(蒼樹社 1948年10月)>
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