三つの川の小さなバラード
ロルカ
グワダルキヴィルの流れは
オレンジとオリーヴの間を流れる
グラナダの ふたつの川は
雪の峰から 麦畑に流れくだる
ああ 行ってしまって
戻っては来ない 恋よ!
グワダルキヴィルの 流れは
暗紅色(グラナーテ)のひげを生やし
グラナダの ふたつの川は
一つは涙を流し 一つは血を流す
ああ 空のなかに
行ってしまった 恋よ!
帆船で 行くには
セビリアへは 船路がある
だが グラナダの流れを
漕いでゆくのは 溜息(ためいき)ばかり
ああ 行ってしまって
戻っては来ない 恋よ!
グワダルキヴィル川よ 高き塔よ
オレンジ畑を 吹きわたる風よ
ダロ川よ ヘニールの流れよ
池のうえに崩れ落ちた 砦(とりで)よ
ああ 空のなかへ
行ってしまった 恋よ!
波が 叫ぶ鬼火を運ぶと
だれが 言うだろう!
ああ 行ってしまって
戻っては来ない 恋よ!
オレンジの花を運べ オリーヴを運べ
おまえの海へ アンダルシーアよ
ああ 空のなかへ
行ってしまった 恋よ!
訳注1 グワダルキヴィル河—スペイン南部ゼグラ山地に発し、コルドバ、セビリアを通って大西洋に注ぐ。
訳注2 ダロ川—グラナダのアランブラ宮殿ある丘の下を流れる。
訳注3 セニール川—シェラ・ネヴァダの山地に発し、グラナダを流れて、のちにグワダルキヴィル河に合流する。
ロルカ
グワダルキヴィルの流れは
オレンジとオリーヴの間を流れる
グラナダの ふたつの川は
雪の峰から 麦畑に流れくだる
ああ 行ってしまって
戻っては来ない 恋よ!
グワダルキヴィルの 流れは
暗紅色(グラナーテ)のひげを生やし
グラナダの ふたつの川は
一つは涙を流し 一つは血を流す
ああ 空のなかに
行ってしまった 恋よ!
帆船で 行くには
セビリアへは 船路がある
だが グラナダの流れを
漕いでゆくのは 溜息(ためいき)ばかり
ああ 行ってしまって
戻っては来ない 恋よ!
グワダルキヴィル川よ 高き塔よ
オレンジ畑を 吹きわたる風よ
ダロ川よ ヘニールの流れよ
池のうえに崩れ落ちた 砦(とりで)よ
ああ 空のなかへ
行ってしまった 恋よ!
波が 叫ぶ鬼火を運ぶと
だれが 言うだろう!
ああ 行ってしまって
戻っては来ない 恋よ!
オレンジの花を運べ オリーヴを運べ
おまえの海へ アンダルシーアよ
ああ 空のなかへ
行ってしまった 恋よ!
訳注1 グワダルキヴィル河—スペイン南部ゼグラ山地に発し、コルドバ、セビリアを通って大西洋に注ぐ。
訳注2 ダロ川—グラナダのアランブラ宮殿ある丘の下を流れる。
訳注3 セニール川—シェラ・ネヴァダの山地に発し、グラナダを流れて、のちにグワダルキヴィル河に合流する。
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この記事へのコメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2020/08/13(木) 10:53 | | #[ 編集]
大島博光はロルカの詩を何篇か訳しています。この詩は自筆原稿として保存されていました。発表したかどうかは不明です。
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