カマウ岬

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 カマウ岬
             スオン・ジウ

カマウ岬よ 生きいきとした大地から吹きでた巨大な蕾(つぼみ)よ
おまえは 遠いむかしから 海の上に突き出ている
人間が歩けるような浅瀬が
千里も向うからここまでのびている

おれたちの祖国は一艘の舟のようだ
カマウ岬は おれたちの舳(へさき)だ・・・

いくつもの河が 大きな河が 流れている
両岸にはマングローヴが生い茂っている

まるで 青空にむかって
いく層にも盛りあがった緑の城壁だ
そうしてその根っこは 腕のように
深い大地を抱きしめているのだ

おれたちの祖国は一艘の舟のようだ
カマウ岬は おれたちの舳(へさき)だ・・・

おお 祖国の大地へのすはらしい愛よ
カマウ岬よ おれはまだ一どもおまえを見たことがない
けれどもおれは おまえを愛し おまえを夢みるのだ
細長い半島よ おまえの方へ
夜な夜な おれの心はとぶのだ

おれの頭はかっかっと燃え 腹わたはにえくりかえり
おれの心は カマウ岬にとぶのだ

あの遠いところが おれには近いところになった
おお いつも目の前に浮かぶ カマウ岬よ・・・
ベンハイ河*のふたつの岸べ
流れる水も 山やまも おれたちの祖国だ

日照りと雨とが いくら色を変えても
おれのこころは 変らぬのだ

祖国の舳(へさき)は 荒波に向って立ちはだかる
リ・トー・チュン**のように 顔をあげ胸を張って
それは 荒波と嵐のまえにそそり立った
おれたちの「銅の城壁***」
おれたちの最高の集合地

おれたちの祖国は一艘の舟のようだ
カマウ岬は おれたちの舳(へさき)だ・・・

おれの指先にまでめぐる赤い血にも似て
梢にまでふきあげる樹液にも似て
鉄の矢をつがえて引きしぼった弓にも似て
ペンの下によせ集められた力強い言葉にも似て

おれたちの祖国は一艘の舟のようだ
波に面と向って 波をひき裂いて進む
カマウ岬は おれたちの舳(へさき)だ

* ベンハイ河は北べトナムと南ベトナムとの境界線となっている.
** リ・トー・チュンは植民主義者に銃殺された南ベトナムの若い英雄。
*** ホー・チ・ミン大統領は南ベトナムを「祖国の銅の城壁」と呼んだ。

<『ベトナム詩集』1968年>
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