血の週間

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 血の週間
                        エミール・デゥケール

身の毛もよだつこの血祭りを 誰が描くだろう
長い 長い八日のあいだ フランス人の血で
フランス人の手が 赤く血まみれになったのだ
虐殺された民衆の なんと怖ろしい断末魔!
虐殺した兵隊どもの なんという野蛮な残虐さ!

おお ダンテよ おんみはその陰欝な天才で
地獄に堕ちた者どもの 苦しみ責苦(せめく)を描いたが
しかし このながながと続いた殺戮を見たなら
おんみも 声なく 立ちすくんだであろう
氷のような臓腑をした 卑劣きわまる怪物は
冷然と人民を その狂暴のいけにえとした
いま人民の その気高い殉難を思い描けば
ぞっとする恐怖の影が 眼(ま)ぶたの上をよぎり
なか空に叫びつづける声が 聞こえてくる
「おお 虐殺者ティエールよ 呪われろ!」

           
おまえたち 汚らわしい死刑執行人(ひとごろし)どもは
子供や 女たちの 腹まで抉り(えぐ)りとった
おまえらは 人類を汚す 恥っさらしだ
おまえらの名を聞いただけで ひとは忽ち
顔を赤らめ おまえらの姿を見るやいなや
「歴史」は身を顛わせて 後じさりする
なぜなら おまえらの額は 泥にまみれ
黒い血の塊りが こびりついているからだ
だが弾圧をこととする 下司(げす)なやからよ
三百代言の弁護士や 軍人どもの一群よ
「歴史」が おまえらの大罪にへきえきし
おまえらの陰惨な醜悪さに おじけついて
おまえらの記録を 泥沼に 眠らせておく
などとは けっして思い込まぬが いい

そうだ 「歴史」は その眼に涙をたたえて
ぞっとする思いに耐え 苦悩をこらえて
おまえらの犠牲者たちの額を 栄光で飾るだろう
そしておまえらの犯罪を 白日の下にさらし
それにふさわしい懲罰を 与えるだろう
そして未来のひとびとは 幾世代にもわたって
おまえらの 汚辱にみちた 名前のうえに
永遠の憎悪と侮蔑を 投げつけるであろう

ああ 野に波うちそよぐ 麦の穂波が
取り入れの大鎌に 苅りとられるように
三万の戦士は ヴェルサイユ軍の弾丸(たま)で
どっと地に什れた──それは残忍な憎しみが
苅りとった 人間の取り入れだったのだ
おお おびえおののくブルジョアどもよ!

見ろ おまえのまき散らした血汐の下に
雨水(あめみず)を浴びて つよく伸びる草花のように
おまえの 枯れはてたと思った 革命が
おまえの行く手に 芽を出し 伸びてゆく

革命は美しく 力強く 芽を出し 伸びる
革命は大きく伸びて おまえをおびやかす
おまえはまた ぶるぶると顛えおののく
ちょうど 血の週間の前に 顛えたように

そうだ 顛えおののけ 岩のような心をして
でっぷりと肥えふとった ブルジョアども!
下司で卑劣な 兵隊上りのならず者ども!
おまえらが 罪の報いをうける時は近いのだ!
だがきみたち 敵弾に仆れた戦士たちの息子よ
貧乏の重荷に 背なかを曲げて行くきみたち
希望に胸おどらせよ 暗いプロレタリアよ
なぜなら 悲哀と苦痛 犯罪と恐怖から成る
このブルジョア世界の 暗い地平線上を
白じらと染める 仄かな光が 見えるからだ
復讐に立ち上る 「三月十八日」の前ぶれが!

この詩は、一八九三年、『社会問題』年鑑に発表された。作者デゥケールは、詩人アシル・ル・ロワとともに、コミューンの思い出を語り、復讐と希望をうたいつづけている。

<新日本新書『パリ・コミューンの詩人たち』──血の週間>

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